不安を安心に変えるコラム
そもそも骨盤は歪まない?
最近では、テレビや雑誌などで取り上げられることも多く、益々知名度が高まる「骨盤矯正」。街を歩けば多くの看板を目にし、治療の世界ではもはや常識と言われるほど皆さんの周りにも浸透しているのではないでしょうか。しかし、このような背骨のズレや骨盤の歪みは、本当に私たちの体の痛みや不調と関係があるのでしょうか?また、科学的根拠の有無や治療の必要性はどう評価されているのでしょうか。
不安を安心に変えるコラム
そもそも骨盤は歪まない?
最近では、テレビや雑誌などで取り上げられることも多く、益々知名度が高まる「骨盤矯正」。街を歩けば多くの看板を目にし、治療の世界ではもはや常識と言われるほど皆さんの周りにも浸透しているのではないでしょうか。しかし、このような背骨のズレや骨盤の歪みは、本当に私たちの体の痛みや不調と関係があるのでしょうか?また、科学的根拠の有無や治療の必要性はどう評価されているのでしょうか。
そもそも骨盤は歪まない?
「歪んでいるものを正せば良くなる」
インターネットや雑誌には、健康や美容と関連付けられた「歪み」に関する様々な情報が掲載されています。特に多いのは次のような情報ではないでしょうか。
- 骨盤が歪むと筋肉や骨格に負担がかかり痛みが発生する
- 骨盤の歪みを放置したままにすると様々な不調が現れる
- 産後の骨盤は半年以内に戻さないと戻らなくなる
あまりにもこのような情報が多いためか、骨盤は「歪むもの」と思っていたり、「ズレるもの」と思っている方も少なくはありません。
しかし、そもそも骨盤は寛骨と仙骨という非常に硬い骨や靭帯で構成されているため、生活習慣などで骨盤自体が歪むということはありません。
仮に歪んだ硬い骨を矯正するのであれば、長期間の持続した強い圧力や固定が必要となります。これは、「歯科矯正」をイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。
一般的には、仙骨という骨に対して筋肉のアンバランスにより骨盤が前後左右に傾くことを「歪む」と表現されることがありますが、正確には「骨盤の非対称」と表現します。
では、この骨盤の非対称、いわゆる「骨盤の歪み」は、腰痛をはじめとした痛みと関係があるのでしょうか。今回は、「歪み」と「痛み」の関連性についてお伝えしていきます。
人間の体は「左右対称」ですか?
医療機関や治療院などで、「脚の長さが違う」や、「骨盤や背骨が歪んでいる」など、腰痛の原因について指摘された経験はありませんか?
これは、骨盤の傾きや脚の長さの違い、背骨の湾曲などの身体的な特徴に焦点を当て、それらを特定し修正することで腰痛が改善するという考えに基づいています。
しかし、そもそも私たちの体は「左右対称」なのでしょうか?
私たち人間の体は一見すると左右対称に見えますが、実は「左右非対称」の構造をしています。
特に内臓は心臓が左、肝臓も右側に位置します。腎臓や肺といった左右一対の臓器でさえもその形や位置は非対称で、肺の数も右が3葉、左が2葉と分葉しています。
また、男性と女性では骨盤の形状が違うということはよく知られていますが、30体の死体の骨盤を対象に調べた研究では、左右の骨盤自体の大きさや形状にも違いがあることが判明しています。