不安を安心に変えるコラム
そもそも骨盤は歪まない?

最近では、テレビや雑誌などで取り上げられることも多く、益々知名度が高まる「骨盤矯正」。街を歩けば多くの看板を目にし、治療の世界ではもはや常識と言われるほど皆さんの周りにも浸透しているのではないでしょうか。しかし、このような背骨のズレや骨盤の歪みは、本当に私たちの体の痛みや不調と関係があるのでしょうか?また、科学的根拠の有無や治療の必要性はどう評価されているのでしょうか。

不安を安心に変えるコラム
そもそも骨盤は歪まない?

最近では、テレビや雑誌などで取り上げられることも多く、益々知名度が高まる「骨盤矯正」。街を歩けば多くの看板を目にし、治療の世界ではもはや常識と言われるほど皆さんの周りにも浸透しているのではないでしょうか。しかし、このような背骨のズレや骨盤の歪みは、本当に私たちの体の痛みや不調と関係があるのでしょうか?また、科学的根拠の有無や治療の必要性はどう評価されているのでしょうか。

そもそも骨盤は歪まない?

「歪んでいるものを正せば良くなる」

インターネットや雑誌には、健康や美容と関連付けられた「歪み」に関する様々な情報が掲載されています。特に多いのは次のような情報ではないでしょうか。

あまりにもこのような情報が多いためか、骨盤は「歪むもの」と思っていたり、「ズレるもの」と思っている方も少なくはありません。

しかし、そもそも骨盤は寛骨と仙骨という非常に硬い骨や靭帯で構成されているため、生活習慣などで骨盤自体が歪むということはありません

仮に歪んだ硬い骨を矯正するのであれば、長期間の持続した強い圧力や固定が必要となります。これは、「歯科矯正」をイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。

一般的には、仙骨という骨に対して筋肉のアンバランスにより骨盤が前後左右に傾くことを「歪む」と表現されることがありますが、正確には「骨盤の非対称」と表現します。

では、この骨盤の非対称、いわゆる「骨盤の歪み」は、腰痛をはじめとした痛みと関係があるのでしょうか。今回は、「歪み」と「痛み」の関連性についてお伝えしていきます。

人間の体は「左右対称」ですか?

医療機関や治療院などで、「脚の長さが違う」や、「骨盤や背骨が歪んでいる」など、腰痛の原因について指摘された経験はありませんか?

これは、骨盤の傾きや脚の長さの違い、背骨の湾曲などの身体的な特徴に焦点を当て、それらを特定し修正することで腰痛が改善するという考えに基づいています。

しかし、そもそも私たちの体は「左右対称」なのでしょうか?

私たち人間の体は一見すると左右対称に見えますが、実は「左右非対称」の構造をしています。

特に内臓は心臓が左、肝臓も右側に位置します。腎臓や肺といった左右一対の臓器でさえもその形や位置は非対称で、肺の数も右が3葉、左が2葉と分葉しています。

また、男性と女性では骨盤の形状が違うということはよく知られていますが、30体の死体の骨盤を対象に調べた研究では、左右の骨盤自体の大きさや形状にも違いがあることが判明しています。

解剖学的基準位置に配置された30個の死体の骨盤を対象にASISとPSISの間の角度を両側から測定した結果、ASIS-PSIS の値の範囲は0~23度、平均角度は13度、標準偏差は5度であることが判明。骨盤ランドマークの非対称によりASIS-PSIS 傾斜では最大11度、名目高さでは16ミリメートルの左右差が生じた。

Preece SJ, Willan P, Nester CJ, Graham-Smith P, Herrington L, Bowker P. Variation in pelvic morphology may prevent the identification of anterior pelvic tilt. J Man Manip Ther. 2008;16(2):113-7. doi: 10.1179/106698108790818459. PMID: 19119397; PMCID: PMC2565125.

医学的な観点から見れば、体の非対称性や不規則性は自然で一般的であり、また、左右差があっても、それが必ずしも痛みや不調と直結するわけではありません。

「歪んでいるものを正せば良くなる」

インターネットや雑誌には、健康や美容と関連付けられた「歪み」に関する様々な情報が掲載されています。特に多いのは次のような情報ではないでしょうか。

  • 骨盤が歪むと筋肉や骨格に負担がかかり痛みが発生する
  • 骨盤の歪みを放置したままにすると様々な不調が現れる
  • 産後の骨盤は半年以内に戻さないと戻らなくなる

あまりにもこのような情報が多いためか、骨盤は「歪むもの」と思っていたり、「ズレるもの」と思っている方も少なくはありません。

しかし、そもそも骨盤は寛骨と仙骨という非常に硬い骨や靭帯で構成されているため、生活習慣などで骨盤自体が歪むということはありません

仮に歪んだ硬い骨を矯正するのであれば、長期間の持続した強い圧力や固定が必要となります。これは、「歯科矯正」をイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。

一般的には、仙骨という骨に対して筋肉のアンバランスにより骨盤が前後左右に傾くことを「歪む」と表現されることがありますが、正確には「骨盤の非対称」と表現します。

では、この骨盤の非対称、いわゆる「骨盤の歪み」は、腰痛をはじめとした痛みと関係があるのでしょうか。今回は、「歪み」と「痛み」の関連性についてお伝えしていきます。

人間の体は「左右対称」ですか?

医療機関や治療院などで、「脚の長さが違う」や、「骨盤や背骨が歪んでいる」など、腰痛の原因について指摘された経験はありませんか?

これは、骨盤の傾きや脚の長さの違い、背骨の湾曲などの身体的な特徴に焦点を当て、それらを特定し修正することで腰痛が改善するという考えに基づいています。

しかし、そもそも私たちの体は「左右対称」なのでしょうか?

私たちの人間の体は一見すると左右対称に見えますが、実は「左右非対称」の構造をしています。

特に内臓は心臓が左、肝臓も右側に位置します。腎臓や肺といった左右一対の臓器でさえもその形や位置は非対称で、肺の数も右が3葉、左が2葉と分葉しています。

また、男性と女性では骨盤の形状が違うということはよく知られていますが、30体の死体の骨盤を対象に調べた研究では、左右の骨盤自体の大きさや形状にも違いがあることが判明しています。

解剖学的基準位置に配置された30個の死体の骨盤を対象にASISとPSISの間の角度を両側から測定した結果、ASIS-PSIS の値の範囲は0~23度、平均角度は13度、標準偏差は5度であることが判明。骨盤ランドマークの非対称によりASIS-PSIS 傾斜では最大11度、名目高さでは16ミリメートルの左右差が生じた。

Preece SJ, Willan P, Nester CJ, Graham-Smith P, Herrington L, Bowker P. Variation in pelvic morphology may prevent the identification of anterior pelvic tilt. J Man Manip Ther. 2008;16(2):113-7. doi: 10.1179/106698108790818459. PMID: 19119397; PMCID: PMC2565125.

医学的な観点から見れば、体の非対称性や不規則性は自然で一般的であり、また、左右差があっても、それが必ずしも痛みや不調と直結するわけではありません。

最近では、テレビや雑誌などで取り上げられることも多く、益々知名度が高まる「骨盤矯正」。

街を歩けば多くの看板を目にし、治療の世界ではもはや常識と言われるほど皆さんの周りにも浸透しているのではないでしょうか。

しかし、このような背骨のズレや骨盤の歪みは、本当に私たちの身体の痛みや不調と関係があるのでしょうか。

また、科学的根拠の有無や治療の必要性はどう評価されているのでしょうか。

そもそも骨盤って歪むものなの?

「歪んでいるものを正せば良くなる」

インターネットや雑誌には、健康や美容と関連付けられた「歪み」に関する様々な情報が掲載されています。特に多いのは次のような情報ではないでしょうか。

  • 骨盤が歪むと筋肉や骨格に負担がかかり痛みが発生する
  • 骨盤の歪みを放置したままにすると様々な不調が現れる
  • 産後の骨盤は半年以内に戻さないと戻らなくなる

あまりにもこのような情報が多いためか、骨盤は「歪むもの」と思っていたり、「ズレるもの」と思っている方も少なくはありません。

しかし、そもそも骨盤は寛骨と仙骨という非常に硬い骨や靭帯で構成されているため、生活習慣などで骨盤自体が歪むということはありません

仮に歪んだ硬い骨を矯正するのであれば、長期間の持続した強い圧力や固定が必要となります。これは、「歯科矯正」をイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。

一般的には、仙骨という骨に対して筋肉のアンバランスにより骨盤が前後左右に傾くことを「歪む」と表現されることがありますが、正確には「骨盤の非対称」と表現します。

では、この骨盤の非対称、いわゆる「骨盤の歪み」は、腰痛をはじめとした痛みと関係があるのでしょうか。今回は、「歪み」と「痛み」の関連性についてお伝えしていきます。

人間の体は「左右対称」ですか?

医療機関や治療院などで、「脚の長さが違う」や、「骨盤や背骨が歪んでいる」など、腰痛の原因について指摘された経験はありませんか?

これは、骨盤の傾きや脚の長さの違い、背骨の湾曲などの身体的な特徴に焦点を当て、それらを特定し修正することで腰痛が改善するという考えに基づいています。

しかし、そもそも私たちの体は「左右対称」なのでしょうか?

私たち人間の体は一見すると左右対称に見えますが、実は「左右非対称」の構造をしています。

特に内臓は心臓が左、肝臓も右側に位置します。腎臓や肺といった左右一対の臓器でさえもその形や位置は非対称で、肺の数も右が3葉、左が2葉と分葉しています。

また、男性と女性では骨盤の形状が違うということはよく知られていますが、30体の死体の骨盤を対象に調べた研究では、左右の骨盤自体の大きさや形状にも違いがあることが判明しています。

解剖学的基準位置に配置された30個の死体の骨盤を対象にASISとPSISの間の角度を両側から測定した結果、ASIS-PSIS の値の範囲は0~23度、平均角度は13度、標準偏差は5度であることが判明。骨盤ランドマークの非対称によりASIS-PSIS 傾斜では最大11度、名目高さでは16ミリメートルの左右差が生じた。

Preece SJ, Willan P, Nester CJ, Graham-Smith P, Herrington L, Bowker P. Variation in pelvic morphology may prevent the identification of anterior pelvic tilt. J Man Manip Ther. 2008;16(2):113-7. doi: 10.1179/106698108790818459. PMID: 19119397; PMCID: PMC2565125.

医学的な観点から見れば、体の非対称性や不規則性は自然で一般的であり、また、左右差があっても、それが必ずしも痛みや不調と直結するわけではありません。

体の非対称性や不規則性はどのような生物学的形態においても予期されます。体のパーツは、工場の型で作られた交換可能なレゴやイケアの家具ではありません。

Todd・Hargrove

体の非対称性や不規則性はどのような生物学的形態においても予期されます。体のパーツは、工場の型で作られた交換可能なレゴやイケアの家具ではありません。

Todd・Hargrove

体の非対称性や不規則性はどのような生物学的形態においても予期されます。体のパーツは、工場の型で作られた交換可能なレゴやイケアの家具ではありません。

Todd・Hargrove

反り腰は腰痛の原因ですか?

「反り腰」とは、文字通り腰が反った状態のことを指します。一般的には、骨盤の前傾が腰椎の前弯を増大させ腰に負担がかかり腰痛が起きやすいと考えられています。

しかし、腰痛患者27名と腰痛のない患者19名、ボランティア10名を対象にMRIを使用して腰椎の前湾との関連性を調べた研究では、腰痛のある人とない人の前弯に違いは見られなかったことが報告されています。

また、健康な被験者120人(男性65人、女性55人)を対象に行われたこの研究では、男性の85%、女性の75%が骨盤前傾を、男性の6%と女性の7%が骨盤後傾を示し、骨盤の位置が中立的であったのは、わずか男性の9%と女性の18%だけだったという事実が判明しました。

もし、骨盤の傾斜が腰痛の原因であるなら、私たちはほぼ全員が四六時中苦痛に襲われながら歩き回っているということになります。

脚の長さの違いは腰痛の原因ですか?

では、脚の長さの違いは腰痛の原因となるのでしょうか。

脚の長さの不平等に関する研究によると、脚の長さの違いは、約90%の人に見られ、通常、その違いが20mmまでは臨床的に重要ではないということが報告されています。

ちなみに、左右の脚の長さで違いがある場合、その差は10mm未満(平均で約5mm)である可能性が高く、20mmを超える差異は非常にまれです。

また、腰痛などの症状のある人とない人では、症状のある人の左右差の平均が5.1mm、症状のない人の平均が5.2mmと、二つのグループ間に統計的な差は無かったことが報告されています。

これは、脚の長さの違いは痛みの有無に関わらず一般的に見られるものであり、脚の長さの違いが腰痛を引き起こす可能性は低いということを意味します。

また、多くの研究では、骨盤の非対称と腰痛との間に一貫した関連性は見出されず、骨盤の歪みが腰痛の発生につながると広く信じられている考えに疑問を投げかけています。

腰痛のある人300人(男性150人、女性150人)と、腰痛のない人300人(男性150人、女性150人)を対象に、17の身体的特徴と腰痛との相対的な関連性を評価した結果、腰椎の前湾や、骨盤の傾き、脚の長さの不均一、腹部、ハムストリング、腸腰筋の長さなどの構造的要因は腰痛の発生に関連していなかった。

Nourbakhsh MR, Arab AM. Relationship between mechanical factors and incidence of low back pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2002 Sep;32(9):447-60. doi: 10.2519/jospt.2002.32.9.447. PMID: 12322811.

そもそも腰痛の多くは、「骨盤の歪み」など単一の要因によって痛みが発生することはほとんどなく、痛みは通常、複数の要因が組み合わさって発生します

たとえ「骨盤を元の位置に戻す治療」を受けて症状が軽減しても、それは神経系の変化と筋肉の弛緩によるものであり、骨盤の矯正や関節の調整によるものではありません

近年、骨盤矯正が過度に推奨される傾向があり、これが商業的な目的や必要のない治療を受ける要因になる可能性があるため慎重な選択が求められています。

また、科学的な裏付けが不足しているにも関わらず、骨盤の歪みが様々な健康問題の根本的な原因であるかのように表現され、広く一般的に浸透していることが懸念されています。

骨盤の歪みが腰痛の原因というのは迷信に過ぎず、骨盤の歪みを正さなければ腰痛は治らないという心配は杞憂に過ぎません。

腰痛発症後1年以内の腰に痛みのある患者144名と腰に痛みのない患者133名を対象に骨盤の非対称と腰痛の関連性を厳密に調べた結果、骨盤の非対称と腰痛は関連していなかった。骨盤の歪みが腰痛の原因という前提の評価と治療戦略に疑問を呈する必要がある。

Levangie PK. The association between static pelvic asymmetry and low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1999 Jun 15;24(12):1234-42. doi: 10.1097/00007632-199906150-00011. PMID: 10382251.

反り腰は腰痛の原因ですか?

「反り腰」とは、文字通り腰が反った状態のことを指します。一般的には、骨盤の前傾が腰椎の前弯を増大させ腰に負担がかかり腰痛が起きやすいと考えられています。

しかし、腰痛患者27名と腰痛のない患者19名、ボランティア10名を対象にMRIを使用して腰椎の前湾との関連性を調べた研究では、腰痛のある人とない人の前弯に違いは見られなかったことが報告されています。

また、健康な被験者120人(男性65人、女性55人)を対象に行われたこの研究では、男性の85%、女性の75%が骨盤前傾を、男性の6%と女性の7%が骨盤後傾を示し、骨盤の位置が中立的であったのは、わずか男性の9%と女性の18%だけだったという事実が判明しました。

もし、骨盤の傾斜が腰痛の原因であるなら、私たちはほぼ全員が四六時中苦痛に襲われながら歩き回っているということになります。

脚の長さの違いは腰痛の原因ですか?

では、脚の長さの違いは腰痛の原因となるのでしょうか。

脚の長さの不平等に関する研究によると、脚の長さの違いは、約90%の人に見られ、通常、その違いが20mmまでは臨床的に重要ではないということが報告されています。

ちなみに、左右の脚の長さで違いがある場合、その差は10mm未満(平均で約5mm)である可能性が高く、20mmを超える差異は非常にまれです。

また、腰痛などの症状のある人とない人では、症状のある人の左右差の平均が5.1mm、症状のない人の平均が5.2mmと、二つのグループ間に統計的な差は無かったことが報告されています。

これは、脚の長さの違いは痛みの有無に関わらず一般的に見られるものであり、脚の長さの違いが腰痛を引き起こす可能性は低いということを意味します。

また、多くの研究では、骨盤の非対称と腰痛との間に一貫した関連性は見出されず、骨盤の歪みが腰痛の発生につながると広く信じられている考えに疑問を投げかけています。

腰痛のある人300人(男性150人、女性150人)と、腰痛のない人300人(男性150人、女性150人)を対象に、17の身体的特徴と腰痛との相対的な関連性を評価した結果、腰椎の前湾や、骨盤の傾き、脚の長さの不均一、腹部、ハムストリング、腸腰筋の長さなどの構造的要因は腰痛の発生に関連していなかった。

Nourbakhsh MR, Arab AM. Relationship between mechanical factors and incidence of low back pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2002 Sep;32(9):447-60. doi: 10.2519/jospt.2002.32.9.447. PMID: 12322811.

そもそも腰痛の多くは、「骨盤の歪み」など単一の要因によって痛みが発生することはほとんどなく、痛みは通常、複数の要因が組み合わさって発生します

たとえ「骨盤を元の位置に戻す治療」を受けて症状が軽減しても、それは神経系の変化と筋肉の弛緩によるものであり、骨盤の矯正や関節の調整によるものではありません

近年、骨盤矯正が過度に推奨される傾向があり、これが商業的な目的や必要のない治療を受ける要因になる可能性があるため慎重な選択が求められています。

また、科学的な裏付けが不足しているにも関わらず、骨盤の歪みが様々な健康問題の根本的な原因であるかのように表現され、広く一般的に浸透していることが懸念されています。

骨盤の歪みが腰痛の原因というのは迷信に過ぎず、骨盤の歪みを正さなければ腰痛は治らないという心配は杞憂に過ぎません。

腰痛発症後1年以内の腰に痛みのある患者144名と腰に痛みのない患者133名を対象に骨盤の非対称と腰痛の関連性を厳密に調べた結果、骨盤の非対称と腰痛は関連していなかった。骨盤の歪みが腰痛の原因という前提の評価と治療戦略に疑問を呈する必要がある。

Levangie PK. The association between static pelvic asymmetry and low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1999 Jun 15;24(12):1234-42. doi: 10.1097/00007632-199906150-00011. PMID: 10382251.

反り腰は腰痛の原因ですか?

「反り腰」とは、文字通り腰が反った状態のことを指します。一般的には、骨盤の前傾が腰椎の前弯を増大させ腰に負担がかかり腰痛が起きやすいと考えられています。

しかし、腰痛患者27名と腰痛のない患者19名、ボランティア10名を対象にMRIを使用して腰椎の前湾との関連性を調べた研究では、腰痛のある人とない人の前弯に違いは見られなかったことが報告されています。

また、健康な被験者120人(男性65人、女性55人)を対象に行われたこの研究では、男性の85%、女性の75%が骨盤前傾を、男性の6%と女性の7%が骨盤後傾を示し、骨盤の位置が中立的であったのは、わずか男性の9%と女性の18%だけだったという事実が判明しました。

もし、骨盤の傾斜が腰痛の原因であるなら、私たちはほぼ全員が四六時中苦痛に襲われながら歩き回っているということになります。

脚の長さの違いは
腰痛の原因ですか?

では、脚の長さの違いは腰痛の原因となるのでしょうか。

脚の長さの不平等に関する研究によると、脚の長さの違いは、約90%の人に見られ、通常、その違いが20mmまでは臨床的に重要ではないということが報告されています。

ちなみに、左右の脚の長さで違いがある場合、その差は10mm未満(平均で約5mm)である可能性が高く、20mmを超える差異は非常にまれです。

また、腰痛などの症状のある人とない人では、症状のある人の左右差の平均が5.1mm、症状のない人の平均が5.2mmと、二つのグループ間に統計的な差は無かったことが報告されています。

これは、脚の長さの違いは痛みの有無に関わらず一般的に見られるものであり、脚の長さの違いが腰痛を引き起こす可能性は低いということを意味します。

また、多くの研究では、骨盤の非対称と腰痛との間に一貫した関連性は見出されず、骨盤の歪みが腰痛の発生につながると広く信じられている考えに疑問を投げかけています。

腰痛のある人300人(男性150人、女性150人)と、腰痛のない人300人(男性150人、女性150人)を対象に、17の身体的特徴と腰痛との相対的な関連性を評価した結果、腰椎の前湾や、骨盤の傾き、脚の長さの不均一、腹部、ハムストリング、腸腰筋の長さなどの構造的要因は腰痛の発生に関連していなかった。

Nourbakhsh MR, Arab AM. Relationship between mechanical factors and incidence of low back pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2002 Sep;32(9):447-60. doi: 10.2519/jospt.2002.32.9.447. PMID: 12322811.

そもそも腰痛の多くは、「骨盤の歪み」など単一の要因によって痛みが発生することはほとんどなく、痛みは通常、複数の要因が組み合わさって発生します

たとえ「構造を元の位置に戻す治療」を受けて症状が軽減しても、それは神経系の変化と筋肉の弛緩によるものであり、骨盤の矯正や関節の調整によるものではありません

近年、骨盤矯正が過度に推奨される傾向があり、これが商業的な目的や必要のない治療を受ける要因になる可能性があるため慎重な選択が求められています。

また、科学的な裏付けが不足しているにも関わらず、骨盤の歪みが様々な健康問題の根本的な原因であるかのように表現され、広く一般的に浸透していることが懸念されています。

骨盤の歪みが腰痛の原因というのは迷信に過ぎず、骨盤の歪みを正さなければ腰痛は治らないという心配は杞憂に過ぎません。

腰痛発症後1年以内の腰に痛みのある患者144名と腰に痛みのない患者133名を対象に骨盤の非対称と腰痛の関連性を厳密に調べた結果、骨盤の非対称と腰痛は関連していなかった。骨盤の歪みが腰痛の原因という前提の評価と治療戦略に疑問を呈する必要がある。

Levangie PK. The association between static pelvic asymmetry and low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1999 Jun 15;24(12):1234-42. doi: 10.1097/00007632-199906150-00011. PMID: 10382251.

一般的に強く信じ込まれている骨盤を戻そうとする事や、骨盤を安定させようとする事には効果がありません。

Peter O’Sullivan

一般的に強く信じ込まれている骨盤を戻そうとする事や、骨盤を安定させようとする事には効果がありません。

Peter O’Sullivan

一般的に強く信じ込まれている骨盤を戻そうとする事や、骨盤を安定させようとする事には効果がありません。

Peter O’Sullivan

関連記事
産後の骨盤矯正は必要ですか?

多くの妊婦さんが妊娠中に腰や骨盤の痛みを経験します。その原因として「骨盤が歪んだり不安定になっているから」という情報をよく耳にしますが本当なのでしょうか?

お問い合わせをもっと気軽に簡単に!

お持ちのスマートフォンからLINEでお友達登録をしていただくと簡単にメッセージでのお問い合わせや予約の受付ができます。

お問い合わせをもっと気軽に簡単に!

お持ちのスマートフォンからLINEでお友達登録をしていただくと簡単にメッセージでのお問い合わせや予約の受付ができます。

お問い合わせをもっと気軽に簡単に

お持ちのスマートフォンからLINEでお友達登録をしていただくと簡単メッセージでのお問い合わせや最新のお知らせを受け取ることができます。

べにばな接骨院

予約優先制 
TEL:023-682-7017

住所

〒990-2339
山形市漆山2447-6

受付時間
平日/午前9:00~12:30 午後15:00~19:00
土曜/午前9:00~13:00

定休日:日・祝

べにばな接骨院

予約優先制

受付時間
AM:9:00~12:30 PM:15:00~19:00
定休日:日・祝


〒990-2161
山形県山形市漆山2447−6
TEL:023-682-7017
FAX:023-682-7018

べにばな接骨院

予約優先制
受付時間:9:00~12:30 15:00~19:00
定休日:日・祝


〒990-2161 山形県山形市漆山2447−6
TEL:023-682-7017
FAX:023-682-7018